形影一如

奈良のおじさんとおばさんの話を聞いていると、あっという間に時間が経ってしまいます。
 
おじさん「この前は『日待ち』やっての、ここいらのもんが集まってたんや」

わたし「『ひまち』? 何です?それ。」

おじさん「皆集まって前の日から体を清めてな、夜通し起きて朝日を拝むんじゃ。朝日を待つってことや。」

わたし「へーっ、夜通しですか?」

おじさん「いやー、この頃は前の晩1時間くらい集まるだけじゃ。だんだん行事もお手軽になってきてアカンわ。コミュニケーションが不足する。」

おじさんの口からコミュニケーションという英語が飛び出したので、思わず吹き出しそうになりました。そんなわたしを見て怪訝な顔をしながらおじさんはトイレに立ちました。

すると、おじさんが廊下に消えていくのを見届けてから、おばさんが言いました。
「コミュニケーション、てなぁ。あの人何しゃべってはるんやろ。家でも要点しかしゃべりはらへんのに。なぁ。そんなん夜通しおっても、二言三言と違いまっか?あの人しゃべるの。」

言い終ると、おばさんは眉毛を上げて口をすぼめたので、またその顔を見てわたしは吹き出してしまいました。

おばさんはよく見ると整った顔立ちをしています。おじさんも若い時は映画俳優のようでした。綺麗な夫婦だったんだろうなあ、とニヤニヤしているといつしかおじさんはトイレから戻ってきて、
「ほら、はよ墓参ったって。日が暮れたらここいらは真っ暗でぇ。」と言ったので、やっとこさで重い腰を上げました。

両親は、平均寿命を待たずに逝ってしまったので、このおじさんとおばさんには長生きしてほしいなぁ、と思っています。

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